倒産した映画プロダクションの倉庫からフィルムの切れ端が見つかるように、突然やってくる記憶の断片。それは断片というよりは再構成された絵画で、私を懐かしい気持ちにさせるとともに、寂しい気持ちにもさせる。
景色
秋もしくは春。白いぶらんこに揺られている。金木犀が色と薫りをまとって佇んでいる。
ぶらんこは揺れ続ける。左へ、右へ。途轍もなく長い時間にかけて。
木漏れ日が幼い肌を照らす。周りに誰もいないが、あたたかな人の気配が確信できる。
この日は永遠に続く。また別の季節が別の世界を連れてくるまで、ずっと。